2025.12.15
光洋のばね「パイプをしっかり接続したい」「部品を確実に固定したい」といった要望段階から、板ばねの設計相談に対応できることをご存じでしょうか。
製品設計において、部品の固定方法は作業効率や製造コストに大きく影響します。
しかし、設計が固まってから固定方法を変更しようとすると、製品全体の見直しが必要になることも少なくありません。
当社では、企画段階からの相談に対応することで、お客様の製造現場における課題解決を第一に考えた提案を行っています。
営業・設計・製造が密に連携した体制により、図面が固まる前の段階から最適な板ばねの設計を提案し、トータルコストの最適化を実現しています。
今回、その技術支援プロセスについて、光洋の担当者に詳しく話を聞きました。
企画段階からの相談が最適解を生む理由

製品設計において、部品の固定方法を早期に決定することは、製造コストや作業効率に大きく影響を与えます。
企画段階から板ばねの相談をすることで得られるメリットと、設計途中からの相談にも柔軟に対応できる当社の体制について担当者に話を聞きました。
早期相談がもたらす設計の最適化
__企画段階からの相談はどのくらいありますか?
「年間10〜20件程度、企画段階からの相談を受けています。図面が固まる前の段階から相談いただくことで、お客様の『こういう動きをさせたい』『ここをしっかり固定したい』という要望に対し、最適な板ばねの設計を提案できます」
__企画段階での相談時には、どのような情報をヒアリングしますか?
「主に4つの項目を重点的にお聞きしています。1つ目は相手物の有無、つまり板ばねが接触・固定する対象物の情報です。2つ目は対象製品の止め方、現在想定している固定方法や制約条件ですね。3つ目はバネに対する要求事項、必要な荷重や着脱頻度、耐久性などです。そして4つ目が数量、試作から量産までの想定数量です」
__これらの情報をもとに、どのように提案を進めていくのでしょうか?
「お客様からいただいた情報をもとに、当社の開発・金型部門の担当者が形状を検討します。当社では材質としてステンレス鋼(SUS)を使用することが多く、相手物と対象物を実際にお借りして形状を考案します。考えがある程度固まると、手作り試作で感触を確かめながら設計を進めていきます」
__企画段階から関わることで、どのようなメリットがありますか?
「最大のメリットは、当社が得意とするマルチフォーミング加工で製造できる形状を提案できる点です。マルチフォーミング加工を前提とした設計により、材料使用効率が向上し、材料費用の低減につながります。設計が固まった後では、製品全体の見直しが必要になり変更が難しい部分も、企画段階であれば柔軟に最適化できます。製品単価だけでなく、組立工数や製造効率も考慮した設計ができるため、トータルコストの最適化が可能です」
設計途中からでも柔軟に対応
__企画段階が理想的だと思いますが、設計途中からの相談もあるのでしょうか?
「はい、時々あります。設計途中の段階で『板ばねで解決できないか』という相談を受けるケースもあります」
__その場合、どのような対応をしますか?
「例えば、当初検討していたばねでは機能を満たさないことが判明し、形状から再設計が必要になった案件がありました。このようなケースでは、お客様の製品設計で既に決まっている部分を活かしながら、板ばね部分のみを最適化する提案を行います」
__既存の設計への影響を最小限にする工夫があるのですね。
「はい。板ばね以外の部分が決まっている場合は、その制約条件に収まる形状で設計を行うことで、既存設計への影響を最小限に抑えています」
__設計途中からの相談でも柔軟に対応できる理由は何でしょうか?
「当社が長年培ってきた経験とノウハウにあります。営業・設計・製造が密に連携し、お客様の状況に応じた最適な提案を迅速に組み立てられる社内体制が整っているためです」
__図面がない場合でも対応できますか?
「過去には図面がなかったケースで、現物を測定して図面化し、同様のばねを製作した実績もあります。ただし、図面がある方が正確で迅速な対応が可能ですので、可能な限り図面や仕様書をご用意いただくことをおすすめしています」
社内連携による迅速な課題解決

お客様からの相談に対して迅速かつ的確な提案を行うためには、社内の情報共有と連携体制が不可欠です。
当社の社内プロセスと、「製品」ではなく「価値」を提供する姿勢について担当者に聞きました。
営業と設計をつなぐ社内プロセス

__お客様から相談を受けた時、営業と設計の情報共有はどのように行われますか?
「お客様から課題の相談を受けた際、相談内容を『商談情報』というアプリに記入し、社内で見える化します。この段階で、お客様の要望、使用環境、求める機能、納期、予算などの情報を明確化します。設計担当者である開発・技術部門は、このアプリに記載された情報を基に板ばねを設計します。提案内容については開発・技術部門が進捗を記入することで、営業と設計の情報共有がリアルタイムで行われ、お客様への提案準備がスムーズに進みます」
__提案書を作成した後は、どのようなプロセスがありますか?
「『新規開発検討会』という社内会議でレビューを実施します。この会議では、設計・製造・営業の各部門が参加し、『本当に製造可能か』『品質基準を満たせるか』『コスト目標を達成できるか』といった多角的な視点から検討を行います」
__このような連携体制により、どのような効果がありますか?
「営業・設計・製造・品質管理の各部門が連携することで、お客様にとって実現可能で最適な提案を組み立てられます。お客様への初回提案までの期間は案件の複雑さによって異なりますが、社内の情報共有体制が整っているため、迅速な対応が可能です」
「製品」ではなく「価値」を提供する姿勢
__光洋では「板ばねを売る」のではなく「課題を解決する」という姿勢で提案しているのですよね?
「はい。当社では、単に板ばねという製品を売るのではなく、お客様の課題を解決するという姿勢で提案を行っています。お客様に満足してもらえる提案を第一に考え、問題解決と設計時間の短縮という具体的なメリットを提供しています」
__「モノ売り」と「コト売り」の違いについて教えてください。
「簡潔に表現すると、モノ売りは『決まったものを売る』のに対し、コト売りは『顧客がほしいものを売る』という違いがあります」
__具体的にはどのような提案をしますか?
「例えば、お客様から『配管接続の作業時間を短縮したい』という相談があった場合、単に板ばねを提案するのではなく、『ワンタッチ接続により作業時間を大幅削減できる』『部品点数が減ることで在庫管理コストも削減できる』といった、お客様が得られる具体的な価値を提示します」
__お客様にとってのメリットは何でしょうか?
「作業効率化やコスト削減といった、お客様の製造現場における課題解決を第一に考えた提案を行うことで、単なる部品供給ではなく、お客様のビジネスパートナーとしての関係を築いています。設計段階から関与することで、製品単価の低減だけでなく、組立工数の低減も含めたトータルコストの最適化が可能になる点が、『コト売り』としての大きな価値です」
どの段階でも相談いただける理由

当社では、企画段階からの相談を最も推奨していますが、設計途中や量産検討段階からの相談にも柔軟に対応しています。
各段階での相談メリットと、当社の対応範囲について担当者に聞きました。
__企画段階からの相談が最適である理由を改めて教えてください。
「製品設計の自由度が高い企画段階で相談いただくことで、板ばねの形状や配置、固定方法などを含めて最適化でき、コスト・性能・製造性のバランスを取った設計が可能です。設計段階から入ることで設計者の負担軽減につながり、バネの形状についての制約が緩和されることもあります」
__設計が固まった後では難しいのでしょうか?
「設計が固まった後では制約が生じることもありますが、企画段階であれば柔軟に対応できます。ただし、設計途中や量産検討段階からの相談でも対応できる理由は、当社が長年培ってきた経験とノウハウにあります。改善余地があれば積極的に提案し、『既存の固定方法を変更できるか』『部品点数を減らせるか』といった視点で、お客様の製品設計を見直し、より良い解決策を提案することも可能です」
__お客様に「まずは相談してほしい」と伝えたい理由は何ですか?
「早期の相談が時間短縮につながるためです。設計の後半で問題が発覚すると、手戻りが発生し開発期間が延びてしまいます。『こんな段階で相談していいのだろうか』と迷われている方も、早めにご相談いただくことで、結果的にプロジェクト全体の効率化が実現できます」
__小ロットや試作のみの相談も可能ですか?
「基本的に小ロットの相談にも対応可能です。ただし、提案品についての試作のみを目的とした対応は行っておりません。試作から量産までを見据えたご相談であれば、どの段階でも歓迎いたします」
__最後に、読者の方へメッセージをお願いします。
「営業・設計・製造が密に連携した体制により、お客様の状況に応じて柔軟に対応できます。企画段階・設計途中・量産検討中など、どの段階でもまずはお気軽にお問い合わせください」
まとめ
当社では、企画段階からのお問い合わせを歓迎しています。
営業・設計・製造が密に連携した体制により、お客様の課題に対して迅速かつ的確な解決策を提供しています。
企画段階からであれば設計の自由度を最大限に活かした提案が可能です。
設計途中からでも、長年の経験とノウハウを活かして柔軟に対応いたします。
部品固定の課題でお困りの際は、まずはお気軽にご相談ください。
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