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「金属ばね製造技能士」実技試験解説 ~線ばね編~

「ばね」は「たわみによって蓄積されたエネルギーを利用する機械要素」と定義され、文房具やガスコンロなど、大小さまざまな製品に使われています。その品質は、それが組み込まれる製品の品質に直結する大切な要素といえます。

「金属ばね製造技能士」は、そのばねの製造技能が試される国家検定制度で「線ばね」と「薄板ばね」という製造作業ごとに区分されており、それぞれ1級と2級に分かれています。

当社をはじめ、ばね製造会社で働く者にとってとても重要な資格といえるこの「金属ばね製造技能士」。
その実技試験日が間近ということで、今回は「線ばね技能士1級」を持つ社員に線ばねの試験内容について聞いてきました!

初めて受験する方も、地域によっては試験が終わっている方も、そして過去に受けたという方も当社マスコットの「こいるん」と一緒に勉強していきましょう!

金属ばね製造技能士試験 基本情報

日程
2024年度 
実技試験日 2025年1月頃
※日時・場所は、受験票の送付により通知されます。
学科試験日 2025年2月9日
合格発表日    2025年3月14日
受験資格  【2級】実務経験年数が2年以上あること
【1級】7年以上の実務経験、または2級合格後2年以上の実務経験
試験内容    実技試験 【製作等作業試験】
手作業治工具を用いて工程毎に専用治具をセットし、線ばねを問題図に示す通りに加工、その寸法や出来栄えを評価する試験となります。
(制限時間50分)
【判断等試験】 【1級】
1.変形カムの選定及びコイリングマシンの調整
2.ばねの不具合及び発生原因の判定
3.カバレージの判定
4.平均値、標準偏差値、工程能力指数の算出
(制限時間60分)
【2級】
1、2は共通
3.図面に基づくばね模型の作成
(制限時間45分)
学科試験 真偽式(〇×問題)25問
多肢択一式(4択問題)25問の計50問で行われます。
ばねの材料や熱処理、品質はもとより、製図や電気・空圧・油圧などばねに関係する知識が幅広く問われます。(制限時間100分)


線ばねの実技試験Q&A

金属ばね製造技能士の実技試験でつまずきやすいポイントを、Q&A形式で紹介していきます。

Q1:ばねの模型を図面通りに作るポイントは?

A:製作等作業試験で問われているのは「図面を見て製品の形状を把握出来ているか」ということ。
図面で用いる事が多い「第三角法を理解できているか」をはかる試験という事となります。第三角法の図面を正しく読むには、使用されている線の種類を理解することが重要です。

特に試験で重要なのは破線(隠れ線)で、文字通り図面対象方向から見た時に隠れている線のことを指し、読み取るには想像力が必要になります。
また、図面の読み取りが苦手な人に良い練習方法があります。ホームセンター等で針金を購入し、様々なばねの図面を見て立体を作ってみることです。図面通りの正しい立体にできているかを意識して取り組んでください。

Q2:線と板の実技試験で、大きく違う点は?

A:密着巻き(コイル)部分の有無です。ねじりコイルばねの密着巻きをするためには、初張力※が必要です。この力が弱いと、線と線の間に隙間が出来てしまい、後の工程にも影響が出てしまいます。

密着巻きのコツは、巻き線機具のハンドルのピンが出ているバランスやピンの溝の位置等を調節して、十分な初張力をつけることです。材料をねじることで初張力をつける方法もありますので、試してみてください。
※初張力…密着巻きをする時、接している線材同士が、負荷がなくても密着しようとする力

「足の長さ」と「フック部分の口幅やねじれ」の作成も特につまずきやすい部分です。これらの作業に影響を与えるのは、フック曲げ治具のフック調整ゲージのガタつきです。
図面には、先がフック状になった、長さに倍以上の差がある2本の足が描かれています。

足の長さは、治具にコイル部分を軽く沿うように押し当てた上で、フック調整ゲージも一緒に支えながら曲げていきます。フック部分の口幅に関しては、曲げピンの横に付いているツメの角度を変えることで対処するようにします。

Q3:練習と本番での違いは?

A:私の経験なのですが、検定時期の影響で、寒く手がかじかんでスムーズに作業を行えないことがありました。練習はもちろんですが、試験本番ではまず自分自身の手のコンディションを整えることが大事なのだと実感しました。
また、練習ではできた密着巻きが、試験本番では上手くできずに焦ることがあります。

原因を探ろうにも(材料?芯金?もしくはハンドルのピン?)など、色々なことが脳裏をよぎるかもしれません。そんな時は、一回大きく深呼吸をし、落ち着きましょう。
焦らずに1つ1つ原因を探りながら、自分のペースでやることが大事です。
日頃の練習の成果を、本番で発揮してください!

いかがでしたか?内容をまとめると、技術を身に着けるのはもちろんのこと、ピンや治具を調整する・手を温めるなど、練習時と同じコンディションを整えることが重要ということでした。初張力の付け方や治具の使い方など皆さんが練習する際にも参考にしてみてくださいね。


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