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バネブログ

「金属ばね製造技能士」とは

「金属ばね製造技能士」という資格があるのですが、耳にする事はほとんど無いと思います。実際、私もばね製造会社に入社して初めて存在を知りました。しかし、ばね製造会社で働く者にとっては、とても重要な資格で、今回はその「金属ばね製造技能士」について少しご説明します。

金属ばね製造技能士資格について

さまざまな工業製品に重要な部品として使われている各種のバネ。単純な構造ながら高度な物理学理論にもとづくバネのよしあしは、製品の品質に直結する大切な要素です。
「金属ばね製造技能士」は、そのバネの製造技術が試される国家資格で、線ばねと薄板ばねの2種類それぞれ、1級と2級に分かれています。

特に、1級は国家資格となり、受験資格を得るには2級取得後一定の期間経過が必要です。
そのため、まずは自分が普段加工作業を行っているばねの2級取得を目指します。もちろん現場以外の仕事に就いている人も取得は可能です。

ばねハンドブック
ばねハンドブック

また、受験者向けには、日本ばね工業会の各支部(東部・中部・西部)のばね製造会社の方々が講師となり、試験当日までにばねの参考書ともいえる「ばねハンドブック」を用いた授業(学科・実技、計3日間)が開催されています。

では、試験について少し詳しく紹介していきます。

ばね製造技能士検定の試験

試験内容は、実技試験と学科試験があり、実技試験の中に「製作等作業試験」と「判断等試験」があります。

「製作等作業試験」

「製作等作業試験」とは、手作業治工具を用いて工程毎に専用治具をセットし、線ばね/板ばねを図面通りの形状に加工、その出来栄えを評価する試験となります。

制限時間は50分となります。

試験当日まで、制限時間内に良品が提出出来るように日々、練習を積み重ねます。

「製作等作業試験」(板ばね)の練習風景
「製作等作業試験」(板ばね)の練習風景

また、1級と2級での形状の大きな違いはありませんが、線ばねではコイルの巻き数が増え、公差も厳しくなっています。板ばねも同様で、作成するばねの形状に大きな違いはないのですが、公差がより厳しくなっています。
文章で書くとあまり違いが感じられないと思いますが、実際は公差条件が厳しくなる事によって、試験の難易度は格段に上がるため、1級合格は非常に狭き門となっています。

「判断等試験」

「判断等試験」とは、普段作業に行っている設備の調整や不良に関係する問題となりばね製造に必要不可欠な現場知識を問う試験となります。
2級は図面の形状を模型で作成、1級は各ばねの寸法を測定し、工程能力調査をするなど、問題にも違いが出てきます。

実技試験の開催は1月下旬のため、冬の寒さで手が思うように動かないという試練も訪れます。また、普段練習しているものと違う治具で試験に臨む可能性が非常に高く、治具それぞれのクセがバネの製作に影響を及ぼす可能性があります。その為、日々の練習で不安を払拭させた状態で本番に臨むのも重要なポイントなります。

学科試験

学科試験ですが、真偽式(〇×問題)25問 多肢択一式(4択問題)25問の計50問で行われます。制限時間は、1時間40分です。内容は基本的にばねに関する問題が主ですが、中には安全や電気関係の問題もあるなど、出題範囲がばねだけにとどまらないため、そう簡単ではありません。

上記、実技試験と学科試験に合格する事で1級/2級を取得できますが、仮に学科試験だけの合格であれば次年度以降に実技試験合格で取得できたり、同級に限りますが線ばね/板ばねどちらかの資格を取得していれば学科が免除されたりなど、取得方法にもバリエーションがあります。

最後に

実は、今年の試験日は昨日(1月22日)に実施されており、光洋からも従業員4名が受験しました。
昨年末から定時後、練習に励んでいたみんなの姿を思うと、全員の合格を願うばかりです。例年通りであれば、合格発表は3月頃。今年もサクラサク通知と、全員のさらなる飛躍を期待しています。

コラム「優良ばね製造技能士

一般社団法人日本ばね工業会は独自に「優良ばね製造技能士」の認定を行っています。

・プラチナ賞

金属ばね製造技能士、線ばね1級、板ばね1級、金属熱処理1級の3資格を有する。もしくは、線ばね1級 板ばね1級 金属熱処理1級のうち2資格を有しかつ、 ばね製造関連職種の1級を有する。(例:金属プレス作業 等)

・金賞

金属ばね製造技能士 線ばね1級、板ばね1級、金属熱処理1級の内2資格を有する

・銀賞

金属ばね製造技能士 線ばね1級、板ばね1級、金属熱処理1級の内1資格を有しかつそれ以外の2級を1資格有する。

ちなみに株式会社光洋には
 ・プラチナ賞 3名
 ・金賞 5名
 ・銀賞 1名
の従業員がそろっています!