2022.10.14
光洋のバネクイックファスナーとは
クイックファスナーは、流体を流す配管同士の接続部分を固定する留め具として使われる部品(薄板バネの一種)です。
以前は継手部分の接続に板金プレス部品をネジなどで固定する方式、袋ナットで締め上げる方式が用いられていましたが、メカ機構部の組立ライン仕事では、取付けの容易さと確実性に高い評価を頂き広く使われるようになりました。
最近では、住宅外配管部の給水・給湯設備の水通路分岐させる箇所への使用以外に、
・耐水圧を気にする事が無い
・排水管接続部にも専用工具を必要としない
・ワンタッチで取り付けられるため、工具を取り回すスペースがない狭い箇所でも着脱が容易
・清掃および、メンテナンスが簡単
こういったメリットから、使用箇所の幅が広がってきています。
上記にも挙げておりますが、クイックファスナーは「ワンタッチで簡単・便利に着脱できる」のが魅力です。
クイックファスナーがまだ世に出始めたころ、同じサイズ径のパイプを繋げるものしかなく、異なるサイズ径のパイプを取り付けるというニーズには対応していませんでした。世の中のニーズを汲み取り、株式会社光洋は異径型クイックファスナーを開発、世に送り出しました。
異径型クイックファスナーの開発
異径型クイックファスナー開発のきっかけ
1995年から1996年にかけて、現在も光洋の主要納入先である会社様向けに開発した板ばねが「異径型クイックファスナー」です。
この製品以前にも「(同径型)クイックファスナー」は市場に存在し、ガス給湯器内の水配管接続において、従来のネジ式に代わるファスナー式として広がっておりました。その結果、配管接続工程の効率化がすすみ、製品の生産能力が大幅に上がったのです。
一方で、給湯器内には配管径の異なるもの同士を接続するケースが多々あり、この場合はでネジで留めたり、溶接を行うなどの昔からの方法を使う。もしくは、別部品を継手部分にはめ込んで接手部分のみ同径にする。など、コストと手間が掛かっておりました。
この点に目をつけて、配管径サイズの異なるものを、1部品かつワンタッチで接続するための工法提案として考案したのが「異径型クイックファスナー」です。
異径型クイックファスナーの設計
クイックファスナーは水回り環境で使われることが多いため、錆に強いステンレスのばね鋼を用いた設計を行いました。また光洋の得意とする「マルチフォーミング技術」を使うことで、通常のプレス型よりも単価における材料ウエイトを少なくし、材料圧延方向に曲げを行うことで、疲労強度の高い異径型クイックファスナー製作への挑戦が始まりましたが、その設計には社内で活発な議論がありました。
相手物となる配管接手に合わせて形状を決めていきますが、径が異なる部分の曲げ展開長をどこまで合わせればよいのか?板幅方向のバランスは?等々、問題点は数多くあり、設計・試作・評価を幾度となく繰り返しました。
異径型クイックファスナーのテストから実用化まで
また安心して使っていただくため、十分な試験を行う必要もありました。耐久試験評価と検証は先の納入会社様に協力いただき、耐久性能を確認することができました。
その際にはユーザー視点での課題も抽出して頂き、これらを全てクリアしたものをマルチフォーミング一発加工で実現した結果、開発開始から約2年後には弊社主力製品のひとつとして量産するまでに至り、納入先でも喜ばれ他サイズにも展開されております。
その後、これらの経験と得られた知識をベースに更にアイデアを加え、ガス器具内の安全装置である温度ヒューズや各種センサーを配管に止めるファスナーなども開発提案し、採用いただいております。
温度ヒューズのファスナーではマルチフォーミングの特性を十分に生かし、限られた幅切り材料を長手方向に分割した上でそれぞれを他方向に曲げることで、それまで2部品をスポット溶接していた物の機能を満たしたまま、1部品で賄えるようになりました。
これにより顧客の納期・コスト・部材管理面で大きな貢献が出来たと伺っております。
クイックファスナーのカスタム品
異径型クイックファスナー開発のように、世の中のニーズを形にする精神は現在の光洋にも生きています。サイズが特徴的なもの、樹脂カバーで覆って安全性を担保するもの、色を付けて判別視認性を向上させたものなど、様々な特注タイプのクイックファスナーを設計から製造まで行って参りました。
光洋は、クイックファスナーに限らず、バネを使って「締める」「留める」「繋ぐ」といった締結に関する問題についても設計からお手伝い可能です。
バネのお困りごと、締結部品に関するお困りごとがございましたら、まずはカタログやサンプルの請求も可能ですのでお気軽にお問い合わせください。
問い合わせ|光洋のカタログやサンプル請求について (koyo-co.co.jp)