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バネブログ

押しばねってどう作るの?~コイリングマシンの場合~

創業50年以上のばねメーカーである当社はこれまでに約10,000種類ものばねを作ってきました。それらは大きく分けて「板ばね、線ばね」に分類され、それぞれ「マルチフォーミングマシン」「コイリングマシン」という機械を用いて加工しているのですが、ばね製造に関わりのない人にはどのようなマシンか見当もつかないかもしれません。
そこで、今回は線ばねの「コイリング加工」、その中でも「押しばね」に焦点を当て、詳しくご紹介します!

・バネブログ「板ばねの作り方(マルチフォーミング加工)」はこちら

【目次】
・ばねを作る工程
・コイリング加工で作る光洋の製品

ばねを作る工程

右の画像が線ばねを製造する「コイリングマシン」です。この機械が材料をコイル状に成型します。今回は、コンピューターで巻き数の制御などができるNC式※の機械を用いた「押しばね」の製造について詳しくお伝えします。

※NC式…ツールの動きや速度をプログラミングすると、全自動で加工ができる。

➀コイリングマシンに材料を通す
➁芯金を取付け、カット機構を調整する
➂ピッチ機構、巻数の調整をする

➀コイリングマシンに材料を通す

光洋で使用する押しばねの材料は直径およそ1~2㎜(φ0.2~φ2.6)と細いものが多く、線径に合わせてツールを交換します。
使用するツールは、溝によって材料の通り道を固定する「ワイヤガイド」(緑枠)、材料を均等な長さで送る「フィードローラー」(黄色枠)、位置によってばねの径(曲げ率)を調整する「コイリングピン」の3点です。
全て線径に合わせた溝が切られており、前ワイヤガイド→フィードローラー→後ワイヤガイド→コイリングピンの順で、材料が真っ直ぐに送られるように調整を行います。

※画像の赤線に沿って線材が通ります。

➁芯金を取付け、カット機構を調整する

前述フィードローラーから送られてきた材料は「コイリングピン」により所定の曲げ率に曲げられます。曲げられた材料は「芯金」に沿って形が作られ、「カットツール」によって材料から切り離されます。
この時点でコイルばねという形状になりますが、製品として扱うには手を加える必要があります。

➂ピッチ機構、巻数の調整をする

続いて、密着巻の調整を行います。その後、ピッチツールでコイルを押し出し、ピッチの調整を行い所定の自由長へと調整します。この時に同時にフィード機構で巻数の調整も行い、指定された寸法へと成形します。
これらの細かな調整によりお客様の求める仕様に仕上げた後に、製品の生産態勢に入ることができます。

コイリングマシンで作る光洋の製品

➀長尺コイルばね

用途給湯器の配管内の水流を調整する。
ポイント・自由長が長いため、成形時にばねが変形しないよう支える
必要がある。
・生産数量が多いため回転数をあげたり、配管内に設置する
製品のため、加工油が使用できなかったりと、設備・ツール
の清掃等メンテナンスに気を配る事が多い。

➁ 円錐コイルばね

用途給湯器内部で流量調整する弁を開閉する。
ポイント・小径と大径の同芯度※および平行度の調整をする。
・全圧縮時にコイル同士が重なり「カチッ」と音がしないよう
全ての径がバランスよく円錐状になるように成形する。

※同芯度…端面から見た時に2つの円の中心がどれほどズレているかを表す。数値が小さいほどズレも小さく、精度が高い。

➂ ばね指数※が大きいコイルばね

用途給湯器内部のガス電磁弁の開閉に使われる。
ポイント・ばね指数が30を超える柔らかいばねは、ピッチの ばらつきが
発生しやすい。
・ピッチを付ける前の密着巻をいかに綺麗に成形出来るかが、
後の寸法に影響を及ぼす。

※ばね指数…コイルの中心径÷線径で求められる。一般的に4~22の範囲に設定され、ばね指数が小さいほど硬い。

多種多様な押しばね

光洋で生産している線ばねの中では、量、種類ともに最も多いのが、今回採り上げた押しばねです。押しばねはお客様のご要望によって、様々な長さ・荷重・形状があるため、1日のうちに直径1㎜の小さなばねから直径50㎜のものを作るなど、光洋に合計11台あるコイリングマシンを臨機応変に操ることで、多種多様な線ばねを生産しています。
これも“金属ばね製造技能士”というばねのプロが各工程で細かく確認を行っているからこそできる技です。

製造されたばねは、皆様のご家庭でも給湯器や自動車部品などの一部分として活躍しています。
これからも、光洋はコイリングマシンを使ったばねで、皆さまの安心をつないでいきます。

線ばねを製造する様子がもっと見たいという方は、当社の内部をVRで見ることができる「OSAKA町工場EXPO」をぜひご覧ください。写真、動画付きで当社内を見て回ることができ、ばねを製造している動画もあります。

URL:https://vrexpo.jp/exhibition/koyo-jp/

公式SNSでコイリングマシンでの線ばね製造の動画を掲載していますので、そちらも併せてご覧ください。

Youtube:https://www.youtube.com/@koyo_spring
X(旧Twitter):https://x.com/koyo_spring
Instagram:https://www.instagram.com/koyo_spring