2023.06.26
会社情報光洋の品質保証体制について、新規製品の準備段階から出荷後の品質改善活動まで、特に光洋が力を入れて活動している部分についてお伝えします。
生産準備検証で懸念点を洗い出す
まず、新規製品が立ち上がる際には工程FMEA*の観点から「生産準備検証」を実施します。各工程の監督者・作業者に、条件・図面の不明点の確認や工程ごとの加工等条件の入力などの検討事項の洗い出しをしてもらい、製品特性を考慮した「懸念される故障モード」を抽出します。これら要因に対しては、新規製品として立ち上がる前に予防していきます。
*工程FMEA…製品や製造プロセスが持つリスクを設計段階で評価し、取り除く手法のこと
しかし、すべての可能性を予め抽出するのは難しいため、初回試打時にも入念に検証を行います。その後、一定数量の試打を終えた段階で、工程能力調査や外観確認、金型セット方法の検証等を行い、金型修正による精度の向上、センサー設定方法の見直し、その他各ツール取付方法や各工程での作業上の注意点の標準類への落とし込み、中間チェック事項への反映など、この後の量産活動に支障をきたすことがないように対策を施していきます。
傾向管理で素早い原因調査
次に、量産活動に移行した際の品質保証体制についてです。
光洋の特長は一定の品質保持を目指し「傾向管理」を徹底していることにあります。傾向管理の観点から、線ばねでは材料コイルの外側部分から内側部分を使用するにしたがって、また、板材であれば材料コイルバリの巻き方向の違う複数のコイルで生産することでの
①材料特性が変化したことによる製品寸法への影響
②加工ツールのセット状態の変化
という2点の確認を踏まえ、事前に決定した中間チェック事項の寸法検査を実施します。
その公差幅の動きを「推移図」として記録し、セット状態の調整が必要かどうかを見極めるために用いています。このように、「傾向管理」は変化点をうまく捉え、コントロールすることで寸法のバラつきを小さく、また不良等の異常の発生を未然に防ぐ変化点管理に効果を発揮します。日々の生産活動記録の「4M変化点管理表」や、トレーサビリティ管理を行っている「生産管理システム」も同様です。
4M変化点管理表は、主に4Mに関するマシントラブル、材料ロットの変化を記録、管理しています。変化点として異常製品の発生が懸念される、もしくは発見された際は、製造部と品質保証部で上記の変化点確認から影響範囲を速やかに特定、出荷済みの製品にまで影響が及んでいないか確認します。併せて、発生および流出の原因を三現主義*をモットーに4M観点から調査し、要因とその可能性となる部分を徹底して除去する対策を実施します。
ここで重要なのは「処置」を「対策」と履き違えないことです。
「処置」とはその場の状況に応じた判断を行い、事後の始末をすることを言い、「対策」とは、物事が発生することを予測して事前に策を講じることです。この二つには、物事が起きる前後の対応のどちらに重きを置くかという明確な差があります。まずは製造部、品質保証部にて、確実な裏付けが認められるまで、暫定処置を実施し流出を防止、そして今後発生しないように恒久的な対策を行っていきます。
*三現主義…製造業において問題が発生した場合に、机上ではなく現場・現物・現状(現実)から得られた知見によって対策を行うこと。
過去トラ有効性確認による継続した見直し
最後に、光洋における品質改善活動に関して説明します。光洋はISO9001および14001を認証取得しておりますので、基本的には「社会及び利害関係者に影響するリスクと機会より会社方針及び品質・環境目標」が掲げられ、その目標に向かってPDCAサイクルを回す仕組みができています。その中でも品質で特に力を入れ取り組んでいるものが「過去トラ有効性確認」となります。過去トラとは、過去に起こったトラブルのことで、再点検により対策の有効性を確認するものです。当社では、発見された異常製品への対策を、履歴として蓄積しています。
その内容に対し、1件ずつ「当初の発生原因見解に間違いはないか、対策は継続して実施されているか、改めて対策を見直す必要はないか」といったことを、製造部、品質保証部で見直し、検証しています。
その当時と比較して「NC工作機械*への変更、蓄積データによる金型改良、基準・標準類の整備、人材育成シートの導入」など、4Mに変化があることで、新たな対策や管理方法を発見でき、これまで見つけられなかった異常の種に気づくこともあるため、品質改善活動として非常に有効に働いているものと自負しています。
*NC工作機械…コンピュータで制御された機械
光洋は、今回紹介した「傾向管理」や「過去トラ有効性確認」をはじめ、様々な品質改善に取り組んでいます。今後もお客様の信頼に応える製品づくりができるよう品質改善活動を継続してまいります。