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バネブログ

線ばねってどう作るの?~ワイヤーフォーミングの場合~

創業50年以上のばねメーカーである当社はこれまでに約10,000種類ものばねを作ってきました。それらは大きく分けて「板ばね、線ばね」に分類されます。それぞれ「マルチフォーミングマシン」「コイリングマシン」などの機械を用いて加工しているのですが、ばね製造に関わりのない人には、どのようなマシンか見当もつかないかもしれません。

今回は、線ばねの仲間である「線加工品」を作る「ワイヤーフォーミング加工」について、詳しくご紹介します!

線ばねと線加工品の違い

当社では線ばね、線加工品の両方を作成しています。
皆さんが「ばね」と聞いて想像する「コイルばね」は線ばねの一種で、押す力に対して戻ろうとする力を利用するシンプルなもので、ボールペンやワンタッチ傘など、生活の中で一番よく見かける形状をしています。
これに対して線加工品は、線ばねとは異なり、大きく伸び縮みせず複雑な形に加工できます。ラックや棚などに引っ掛けるS字フックやゼムクリップなどがその代表例になります。(下記画像参照)

【目次】
・ワイヤーフォーミング加工とは
・ばねを作る工程
・NC式とカム式の違い
・ワイヤーフォーミング加工で作る光洋の製品

ワイヤーフォーミング加工とは

ワイヤーフォーミングとは、金属製の線材を「曲げる、丸める、ひねる、圧縮する、引っ張る」などして、特定の形状にフォーミングする(形づくる)ことを指します。
当社では、線材の曲げ加工を特に得意としており「ベンディング(曲げ)とコイリング(巻き)」をおりまぜながら加工を行っています。

ばねを作る工程

➀スライドツールの位置決め

スライドツールとは、線材を曲げたり押したりする可動式の成形工具です。材料が出てくる部分を中心とした円周上に配置されており、これらのツールが多軸で動作し、プログラムに従って線材を立体的に加工します。

ツールにはそれぞれアルファベットが割り当てられ、それをもとにプログラミングで指示を出します。
「位置決め」は、そのツールが正確な場所・角度で動作するように、初期のセッティングを行うことです。これが不正確だと、加工精度に大きく影響します。

➁プログラムデータの読み込み

続いて、加工する製品に合わせた加工プログラム(NCデータ)を機械に読み込みます。このプログラムには、各スライドの動作量(送り距離、角度、速度など)が記録されています。
1つ作成するのに約1~2時間、複雑な形状だと倍以上かかることもあり、これまでに作成された約500種類のデータには、先人の技術が詰まっています。作成時に最も気を付けている点は、ツール同士や線材との干渉がないか慎重に確認することです。

➂ツールの取り付け

その後、カットなどに使用する先端の部品を取り付けます。ツールは4~13種類ほどあり、中には自社で作成するものもあります。

➃材料を通す

製品の元となるコイル材をマシンにセットする際は、ワイヤーの方向性を一定にし、ばねの形状、初張力、荷重などを安定させる為にワイヤーホールに通します。この画像では、左から右へ材料が送られています。

➄プログラムを用いた加工

最後に、形状に合わせたプロブラムの調整を行います。機械を手動モードに切り替え、ツールの動きを確認しながら、スライドの取り付け位置やツールの先端位置など、仮加工を行いながら一行程ずつ干渉やズレがないか確認しながら微調整していきます。これらの調整が完了し精度が出たところで、自動運転モードで量産加工に入ります。

NC式とカム式の違い

ワイヤーフォーミングマシンで加工を行う際は、基本的にプログラミングを用いるのですが、複雑な形状の試作をする時は、手でハンドルを回し、自力で細かく曲げながら調整することもあります。

先の説明はNC式のマシンの内容でしたが、当社はもともとカム式のマシンを使用していました。NC(Numerical Control)式は、機械をコンピューターで制御し、カム式はカムという部品の動くタイミングによって機械の動きを指定します。

両者の一番の違いは、金具のセットにかかる時間です。カム式だと1日かかっていたものが、NC式なら2-3時間で終わらせることができ、負担が減りました。また、NC式の中でも新しいものはどんどん操作性が良くなっています。
こちらの画像のマシンでは、主にねじりコイルばねを生産していました。

ワイヤーフォーミング加工で作る光洋の製品

電池用ばね

役割電池に電流を流す。
ポイ
ント
電池のプラス側に接触する
平らな部分を作成するため、
クイル角度と初張力※の
兼ね合いを調整 する。

※初張力…密着巻きをする時、接している線材同士が、負荷がなくても密着しようとする力

➁コンテナランチボックス用ばね

役割弁当箱の蓋を留める。
ポイント・曲げが多いが、左右対称に仕上げる。
・線径が太いので、曲げと曲げの間の寸法が 短い箇所を専用ツールにて加工する。

➂マルチマーカー

役割マグやグラスに取り付け、
取り違えを防ぐ。
ポイ
ント
昨年、ノベルティとして
作成しました。今年出展
するTECHNO FRONTIER
2025(東京開催)にも、
線加工品で作った新作を
配布予定ですので、
ぜひお越しください!

ワイヤーフォーミングを選ぶ理由

当社で使用しているNCワイヤーフォーミングマシンは、コンピューター数値制御システムを使用して、加工のプロセスを自動化します。プログラミングで、ツールの回転角度や方向を調整することにより、 様々な角度・方向に材料を曲げることができます。理論上、一筆書きで表現できる形状について三次元加工が可能です。 また、ある程度ツールの共用が可能なため、 金型費を大きく抑えられることも、当社がこの加工方法を用いる理由の一つです。

製造されたばねは、皆様のご家庭でも給湯器などの一部分として活躍しています。これからも、光洋はワイヤーフォーミングで、皆さまの安心をつないでいきます。

公式SNSでワイヤーフォーミングマシンでの線加工品製造の動画を掲載していますので、そちらも併せてご覧ください。

Youtube:https://www.youtube.com/@koyo_spring
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